高額な買い物=無駄使い?価値にお金を払うという考え方
執筆者:三原由紀(ファイナンシャルプランナー)
2018年8月16日
フリマアプリがはやってきたこともあり、不要になったものを売った経験がある人も多いかもしれません。なかには「高いお金を出して買ったのに、こんなに安くしか売れないの?」と思った人もいるでしょう。
一方で、売ったとしてもたいした金額にならないモノや、他人には「なぜそんな高いものを買うの?」と思われるような買い物もあります。しかし、当の本人はまったく後悔せず、「買ってよかった」ということもあるはずです。せっかくお金を払って何かを買うなら後悔したくないものですが、どうすればいいのでしょうか。
減らない価値とは何か
ある男性が2008年ごろに2つの腕時計を40万~50万円ほど出して買ったそうです。両方とも誰もが知っているブランドでした。ひとつは有名なある腕時計ブランド、もうひとつは腕時計も出しているおしゃれな欧州のアパレルブランドです。
最近、ためしに両方とも質屋に見てもらったら、前者はおよそ40万円の値がつき、ほとんど値が下がっていなかったそうです。一方、後者のアパレルブランドの時計は7万円ほどになっていたといいます。半分以下になっていてショックを受けたそうです。ここで考えたいのは、「高いとはどういうことなのか」ということ。この有名腕時計ブランドは流通量をコントロールしており、また中古市場での値崩れもあまりない傾向です。
腕時計に関心がない人にとってみれば、50万円どころか20万円や10万円ですら「高い」と感じるでしょう。時間がわかるという機能だけであれば、数千円のノーブランドの腕時計でも問題ありませんし、スマホの時計でもいいかもしれません。何にいくら出せるかは人それぞれです。しかし、50万円出しても数年後に8割程度で売れるのであれば、実質10万円ほどの出費で高級なアイテムが身に着けられるという見方もできます。
決して、「腕時計はいいものを着けましょう」と言いたいわけではありません。「同じ値段を出しても、数年では損なわれない価値もあれば、逆に損なわれてしまう価値もある」ということです。例として腕時計を出しましたが、これは世の中のあらゆることで同様だといえるでしょう。ブランドバッグなどの嗜好品はわかりやすい例にはなります。
しかし、そもそも希少価値の高いアイテムや、中古市場が確立していたり、コレクターがいたりするブランドやアイテムは、買ったときよりも高くなることもあるのです。
「安いから」買ったけど「使わなかった」「すぐ壊れた」という経験は?
そもそも、バッグは必要なものを入れて運べれば十分ということなら、高いお金を出して買う必要はありません。しかし、高いものを持つことで得られる精神的な充足感や満足感もあるでしょう。また、逆に「安いから」と値段だけを見て買っても大切に使わなかったり、好みじゃなかったと結局使わなくなったりすることもあるでしょう。
買ってすぐに壊れてしまったものは、だれもがひとつは持っているのではないでしょうか。いわゆる「安物買いの銭失い」ですね。「値段が高いからいい」「値段が安いから悪い」ということではありません。大切なのは、何かを買うときに「価値にお金を払う」という考え方を持つことです。そして、買ったモノは残っても価値も残るのかどうかです。
モノを買うとき以外にも当てはまる考え方
ただ、お金を払って買うのは何も「モノ」とは限りません。サービスを受けることにも当てはまります。形として残るモノがなくても、「お金を支払う価値があるかどうか」はしっかりと見極めることが必要です。
例えば、テーマパークで人気アトラクションの待ち時間を短くできたり、パレードの鑑賞エリアを確保できたりするチケットが販売されていたとします。待ち時間も友人との会話を楽しみながら過ごせるという人はそのチケットに価値を感じないでしょう。一方で待ち時間の分、ゆっくり食事を楽しみたいという人はそのチケットに価値を感じるはずです。
価値はそれぞれですが……
「セールで買いすぎた」「安いからと買ったけど後悔した」という経験は多くの人が持っているでしょう。「通常の価格より安い」ことは往々にして購入の判断基準になります。
しかし、モノを買う場合もコト(サービス)に払うにしても、購入に迷ったときには、「高いか安いか」ではなく、「自分が求める価値にみあう金額なのか」という視点から考えてみてはいかがでしょうか。
中古市場で値崩れがないということは、価値をはかる判断基準のひとつといえます。その一方で、使っている間に満足感が得られるのであれば、たとえ中古市場で値がつかなかったり、引き取り手がなかったりする場合でも、「自分が求める価値にあっている」といえるかもしれません。
お金を支払って得るモノやコトに求めるものは人それぞれですが、あくまで自分が納得できる価値を得るために、その対価としてお金を払うのだという意識は持っておくべきではないでしょうか。