貯蓄が苦手なあなたも!行動経済学を理解すれば、コツコツお金が貯まる!
執筆者:株式会社ZUU
2018年2月16日
2017年のノーベル賞を覚えているでしょうか。経済学に新たな分野を切り開いた功績に対して授与される経済学賞は、米国の経済学者で「行動経済学」を専門とするリチャード・セイラー教授に授与されました。
言葉だけを聞くと難しく思えますが、行動経済学は、別名「経済心理学」とも呼ばれていて、人間の心理も考えた経済学なのです。今回は行動経済学の力をちょっとだけ借りて、貯蓄が苦手な人でもすぐに実践できる貯蓄のコツを考えてみます。
これまでの経済学が想定していたのは「完璧な経済人」?
さて、行動経済学の話を始める前に、一般的な経済学について紹介しましょう。一般的な経済学が想定しているのは、「いつも冷静で理想的な行動を取る経済人」です。多種多様な情報を適切に処理し、常に正しく選択する人をイメージしています。たとえば、「1年間で60万円貯蓄したい」という目標があったとすると、現状の収入を踏まえて無駄遣いを避け、目標達成に向けて最適な行動を取り続ける人間です。
しかしながら、実際の人間はそれほど冷静ではいられません。甘いものが食べたくなってコンビニでスイーツを買ったり、仕事帰りに居酒屋でお酒を飲んだり、電車の広告で見かけた面白そうなゲームを衝動買いしてしまったりと、予定していなかったお金を使ってしまうことも少なくないしょう。
行動経済学は、前者の理想的な人間像を「エコノ」、後者の人間らしい人間を「ヒューマン」、と呼んでいます。
行動経済学が研究対象とするのは、ヒューマンの行動です。つまり、私たちが感情に左右され合理的な判断ができなくなってしまう理由など、従来の経済学だけでは説明できなかった人間の行動を心理学も取り入れて分析しようとしているのです。
行動経済学で「貯金できない理由」と「貯金しやすくなるコツ」を理解する
貯金したいと思っているのに、なぜ貯金できないのか…こうした心理を理解するのに役立つのが、行動経済学の「現在志向バイアス」という概念です。
現在志向バイアスとは、将来的な利益より目先の利益を優先しがちな心理を指します。具体例をあげると、1年間我慢すれば10万円もらえるとう状況よりも、今すぐ5万円もらえるほうに魅力を感じてしまうような心理です。前述の例では、1年間で60万円貯蓄するという目標があるにも関わらず、目の前の誘惑やその場の衝動に流されてしまうことが該当します。
それでは、現在志向バイアスを超えて貯金するためにどうすれば良いのでしょうか。解決策のヒントになるのが「フレーミング効果」でしょう。これも行動経済学の概念の一つです。
フレーミング効果とは、意思決定の参考にされる判断基準=フレームが人間の心理に及ぼす影響のことで、物事の切り口や見せ方を変えるだけで、受け取り方が変わることを指します。例えば、「1年間で60万円貯蓄する」と最初から大きな目標を設定してしまうと、実現するまでの道のりを遠く感じて、早々に諦めてしまう可能性があります。しかし「1ヶ月で5万円貯蓄する」と実現性の高い目標に切り替えれば、心理的なハードルが下がります。これを貯金行動に活用するわけです。
自分の意思が必要ない貯蓄ルールで貯蓄体質に!
自分が貯蓄できない理由は分かったけど、お金があればあるだけ使ってしまう…そんな方に提案するのは、自分の意思なしでコツコツお金を積み立てる「先取り貯蓄」です。
まず、給与口座から毎月決まった金額が貯蓄用の口座へ引き落とされるように設定しておきます。一度設定しておけば、あとは自動的にお金が貯まります。「頑張って節約して、毎月5万円貯めなければ…」という意志を持ち続ける必要もありません。もしお勤めの会社に財形貯蓄制度があれば、それを活用するのも有効な手段のひとつです。
行動経済学を知ると、ついついやってしまう自分の行動を客観的に理解し、苦しい思いをすることなくその行動を変えるヒントがつかめます。今まで貯蓄に挫折していた人も、今月からチャレンジしてみませんか。