お金の裏技?!所得・療養・学費に関するもらえるお金・もどってくるお金
執筆者:大西洋平(フリーライター)
2017年3月30日
とある会社の昼休みの風景ですが、彼らの会話の中には意外と世間で知られていないお金のエピソードがいっぱいのようです。同期入社で営業マンとして働く徳下(トクシタ)さんと志拉内(シラナイ)さんの会話に、ちょっと聞き耳を立ててみましょう。
盗難、横領、災害などの被害も確定申告の対象に
志拉内:聞いてもらえる?!最近、ロードバイク始めたって言ったよね。それが2回目のサイクリングの時、休憩でコンビニに停めて一瞬目を離した隙に盗まれてしまったんだよ。しかもそのあと片道10kmを歩いて帰ったよ。チェーンをつけておいたのに、ショックだよ本当に。。。
徳下:それは災難だったね。ロードバイクって高いんだよね?狙われやすいのも仕方ないから、本当に気をつけないとね。でも、それって確定申告で計上する予定ある?
志拉内:えっ、それは盗まれたものだから控除にできないんじゃないの?!
徳下:知らないのっ?雑損控除。自転車とかの所有物や現金を盗まれたら、『差引損失額−総所得額等×10%』を控除できるんだよ。盗難だけでなく災害や横領の被害に遭った場合も対象になるし。
志拉内:なるほど!そうだったんだね。もし知らないまま何もしなければ、せっかくの制度を無駄にするところだったよ。
- 雑損控除
- 災害又は盗難若しくは横領によって、資産について損害を受けた場合等には、一定の金額の所得控除が可能。申告時には、罹災証明書や盗難届などの証明書類の提出が必要。
- ※控除条件等の詳細は、国税庁のホームページをご参照下さい。
就業中以外の病気やケガでもお金がもらえる場合も
志拉内:そういえば、営業2課の西君ってずっと休んでいるんだけど、どうやら自転車で事故にあったらしいよ。
徳下:そうなの?もしそれが通勤中のケガなら療養給付、業務中なら療養補償給付の申請をしたほうがいいね。会社の判断にもよるから必ず給付を受けられるとは限らないけど、指定の病院等での治療費や薬代が無料になったり、指定以外の病院等でならあとで支払い相当額を支給してくれるからね。
志拉内:なるほどね。もしもの時にはちゃんと申請しないとね。その点、僕の課の土田先輩は、先月からスキーで大ケガして休んでいるわけだから、その給付金はもらえないよね。もう有給休暇も残っていないらしいし。
徳下:でも、4日以上(3日連続していることが前提)にわたって仕事に就けない場合は、就業中以外の病気やケガでも健康保険組合(もしくは協会けんぽ都道府県支部)から傷病手当金をもらえる可能性があるよ。有給休暇扱いになっていないなら、該当しているかもね。ちなみに、有給扱いになっていても、それが疾病手当金よりも少ない場合は差額分が支給されるみたいだね。
- 療養給付
- 通勤中の負傷・疾病による療養費用(診察・薬・治療)に対して給付・支給。
- 療養補償給付
- 業務中の負傷・疾病による療養費用(診察・薬・治療)に対して給付・支給。
- 傷病手当金
- 病気休業中に被保険者とその家族の生活を保障するために設けられた制度。
- ※給付条件等の詳細は、厚生労働省および労災保険情報センターのホームページをご参照下さい。
年間1,500万円まで教育資金贈与の特例が!
志拉内:そういや、俺もおまえもまだ子供が小さいからお金はそんなに掛かってないけど、多田先輩なんて、お子さん3人全員を私立高校に通わせてるんだから、凄いよね。きっとお小遣いとかも含めて、かなり家計のやりくりされているんだろうから大変そうだね。
徳下:もしかしたら東京都や国の助成制度を利用しているかもしれないね。審査をクリアすれば、返済不要の支援金や助成金を受け取ることができるから、授業料の負担がぐっと軽くなるんだって。
志拉内:そんなありがたい制度があるんだね。でも多田先輩の場合は、実家の支援を受けている可能性もあるよね。ただ、それってあまりにもたくさんのお金を受け取っていると贈与税がかかるんじゃないのかな。
徳下:確かに、親から子どもへの贈与が年間110万円を超えたら贈与税がかかるよ。ただし、30歳未満の孫や子どもの教育資金として贈与した場合は、教育資金の一括贈与時の非課税制度という特例に該当するから、所定の手続きを取っていれば1,500万円まで贈与税がかからないよ。ただし、この特例は2019年3月末までっていう期限があるから、志拉内の子供が使えるのもあと数年だね。
志拉内:そうなのか~、色々と配慮されているんだね。しかし俺の場合、親に頼るわけにもいかないし、自分たちで何とかしないとな。空からお金が降ってきてくれれば、こんなに悩まなくて済むんだろうけど…。
徳下:冗談はさておき、そろそろ仕事にもどらないと!
- 私立高等学校等授業料軽減助成
- 都内在住、私立高等学校等に通う生徒の保護者の経済的負担を軽減するために、授業料の一部を助成する制度。
- 贈与税
- 一人に対し1月1日から12月31日までの1年間にもらった財産の合計額から基礎控除額の110万円を差し引いた残りの額に対して課税。
- 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税
- 教育資金に充てるため、特定の条件を満たした場合、その信託受益権、金銭又は金銭等の価額のうち1,500万円までの金額に相当する部分の価額については、贈与税の課税価格に算入されない。
- ※給付条件等の詳細は、公益財団法人東京都私学財団、厚生労働省のホームページをご参照下さい。
昼休み終了と同時に彼らの雑談は終わりましたが、所得税の控除、療養費や教育費の助成以外にも、さまざまな方面で公的補助制度や税制上の優遇が設けられています。まずは自分で調べてみて、該当しそうなものがあれば、お住まいの市区町村の窓口や関係機関に問い合わせしてみましょう。