人には聞けない?今知っておきたい経済の仕組み
執筆者:株式会社ZUU
2017年3月9日
「経済なんて自分には関係ない」
そう思ったあなたこそ、ちょっと考えてみてください。「円高」「円安」「インフレ」「デフレ」…日々のニュースでよく耳にするこれらの言葉は、あなたの生活に大きな影響を与えています。なんとなく知っているつもりで済ませないで、なぜそうなるのかを経済の仕組みから理解すると、ニュースの捉え方やモノの見方が変わるかもしれません。今回は、必ず押さえておきたい基本中の基本の知識(初心者向け)をお届けします。
物価の決まり方はオークションと同じ
まずは「物価」についてです。商品やサービスの値段は通常、需要と供給の強弱で決まります。例えば、ネットオークションを思い浮かべてみましょう。商品に対して、欲しい人がたくさんいれば商品の価格は上がっていきます。物価も、需要が供給より多ければ価格が上がるのです。ちなみに、その物価上昇のことをインフレ(=インフレーション)といいます。
ここで気になるのは、物価や物価のトレンドは日本国内において全く同じなのかということです。当然のことながらそんなことはありません。場所の利便性などから、住んでいる人や家賃相場が大きく異なり、結果として需要と供給のバランスの違いが生じ、地域によって物価も変化してくるのです。
さらに「為替」も深く影響します。為替とは、金融業務において、送金や振込、手形や小切手などで、現金を移動させることなく、代金(金銭)の支払いなどの決済を行う方法の総称ですが、物価に影響を与えるのは「外国為替」で、海外との為替取引(通貨の交換)を指します。その時の通貨の交換比率を「為替レート(外国為替相場)」と呼び、日々の変動に対して「昨日に比べ○円の円安(円高)」という言い方をするのです。
では、より具体的な例で考えてみましょう。例えば、1ドル100円から円安が進んで120円になったとすると、ドルで輸入する商品の価格が20%上がる計算です。日本はエネルギー資源や食料の輸入大国なので、円安になるとこれらの国内価格が上がります。120円に上がるのに円安というと逆のような感じですが、「ドルの値上がり(ドル高)=円安」ということになります。反対に、1ドル100円から円高が進んで80円になったとすると、ドルで輸入する商品の価格が20%下がり、ドルで輸入する商品の価格が20%下がるわけです。
上記のように物価への影響を与えるものはたくさんありますが、改めて考えてみることで身近な当たり前の中にも意外とその要素が含まれていると気が付くのではないでしょうか。
“デフレ脱却”っていったいなんのこと??
先ほど、インフレとは物価が上がることだとお伝えしましたが、その反対で物価が下がることをデフレ(=デフレーション)といいます。現在、日本の重要政策の一つに「デフレからの脱却」があります。物価が下がることにより、商品やサービスの価格も下がるのだから、消費者にはメリットが多いように思えますが、デメリットにも目を向けなければなりません。
商品やサービスの値段が下がると、売り手は利益が減るので従業員の賃金を抑えます。賃金が少なくなることで、従業員は節約のために買い物を控えはじめます。すると、価格競争が激しくなって、売り手はさらに値下げを迫られ企業利益を圧迫してしまいます。場合によっては、リストラや倒産が増え、日本全体が不景気になっていくわけです。
つまり、物価が下がっても同時に給料が下がってしまうのなら本末転倒であり、だからこそ日本の政策上、デフレ脱却(≒緩やかなインフレ)が非常に重要となるわけです。
日本人の家計の内訳は?その実態はいかに!?
日本の経済を考えるうえで、「物価」「為替」に次いで知っておきたいのが「家計」のはなしです。皆さんは日本人の家計の内訳のうち、現金・預金の割合が諸外国と比べて高いことをご存知でしょうか?日米欧の家計の金融資産構成の図表を見ながら確認してみましょう。
- ※「その他計」は、金融資産合計から「現金・預金」「債務証券」「投資信託」「株式等」「保険・年金・定型保証」を控除した残差。
出典:資金循環の日米欧比較(日本銀行調査統計局2016年12月22日)
上記の図表よりお分かりいただけるとおり、現金・預金の比率が高いのは日本(52.3%)、ユーロ圏(34.6%)、米国(13.9%)の順番になっています。反対に、投資(株式・投資信託・債務証券)の比率が高いのは米国(51.3%)、ユーロ圏(28.7%)、日本(15.1%)の順番になっていることから、日本と米国では現預金と投資の比率がまったく反対の結果であることが見て取れます。
なぜ特に日米ではこんなにも金融資産構成が異なるのでしょうか。その理由は色々と考えられますが、日本人と米国人の気質・文化の違いや老後の資金制度、株価指数の長期トレンドの違いなどが挙げられます。このように日本国内だけでなく海外にも目を向けることにより、より広い視野で経済の流れを認識できるようになったり、「なぜそうなっているのか」を考えるきっかけになるのではないでしょうか。
ここまで「物価」「為替」「家計」など、経済に関わる身近なキーワードを最近のトレンドと合わせてご紹介しました。冒頭でもふれましたが、「知っているつもり」と「理解している」のとでは、日々の生活が大きく変わります。これを機会に、経済情報のチェックを習慣にしてみると、今まで気づかなかった新しい発見があるかもしれません。