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2,000円で買い物&税金優遇!「ふるさと納税で得する」仕組み

執筆者:馬養雅子(ファイナンシャルプランナー) by マネーゴーランド

2017年2月27日

いま大人気の「ふるさと納税」。すでに利用している人もたくさんいるでしょう。ふるさと納税のメリットは2つあります。1つはふるさと納税によって税金の負担が軽減されること、もう1つは、ふるさと納税で寄付をした先から特産品などが返礼品(お礼の品)としてもらえること。

返礼品を目的にふるさと納税を利用する人が多いのですが、実は税金の制度なんですよね。その仕組みを見てみましょう。

「控除」で税金が安くなる

ふるさと納税は、「納税」という名前ではありますが、実際には「寄付」です。「ふるさと」というのも、実際の自分のふるさとに限らず、自分が住んでいるところ以外でも、日本全国の地方自治体を指します。

国や自治体へ寄付をすると、「寄付金控除」が受けられ、それによって所得税と住民税の負担が少なくなります。ふるさと納税は自治体への寄付なので、この控除が適用されます。

所得税の寄付金控除額(①)は、
 (寄付した金額-2,000円)×所得税率

です。所得税の税率は課税所得が多くなるにつれて、5%、10%、20%というふうに高くなります。所得税率が10%の人が1万円を寄付したとすると、
 (1万円-2,000円)×10%=800円

寄付しなかった場合に比べて800円トクすることになります。

住民税にはふるさと納税の特例がある

控除額が大きいのは住民税です。ふるさと納税の寄付金控除には基本分と特例分の2つがあり、控除額がそのまま住民税額から差し引かれるので、税額軽減効果が大きくなります。

住民税の寄付金控除の基本分(②)は
 (寄付した金額-2,000円)×10%

なので、1万円寄付した上の例だと
 (1万円-2,000円)×10%=800円

特例分(③)は①②により控除できなかった額を全額控除します。計算式は下記の通りです。
 (寄付した金額-2,000円)×(100%-10%-所得税の税率)

上の例だと、
 (1万円-2,000円)×(100%-10%-10%)=6,400円

となり、800円+6,400円が翌年度の住民税から差し引かれます。

所得税と住民税の控除額を合計すると、
 800円+800円+6,400円=8,000円

で、寄付した金額から2,000円を差し引いた分がまるまる還ってくることになります。そのうえ、寄付先の自治体から返礼品をもらうとすると、実質2,000円で受け取れることになり、返礼品の価額が2,000円以上なら、2,000円を超えた部分はタダということになるわけですから、とてもおトクですよね。

ただし、控除額は所得によって変わり、上限もあります。寄付金額がいくらまでなら実質2,000円の負担ですむのかは、ふるさと納税関連のサイトでシミュレーションできます。

確定申告不要の「ワンストップ特例」

もちろん、ふるさと納税の控除額は自分で計算する必要はありません。確定申告して寄付した金額を申告書に記入すればOKです。

そうはいっても、サラリーマンなど通常は確定申告しない人だと、寄付金控除のために申告するのは面倒ですよね。そこで2015年4月から、寄付先が年に5カ所までであれば、確定申告不要のワンストップ特例制度が利用できるようになりました。

これは、寄付した自治体に特例申請書を発行してもらい、必要事項を記入してその自治体に提出することで、寄付した翌年の住民税が軽減される仕組みです。この場合、所得税の軽減分も住民税から差し引かれます。

特例申請書の提出期限は寄付した翌年の1月10日です。それまでに提出できなかった場合でも、確定申告すれば寄付金控除が受けられます。

本来の趣旨を理解したうえで利用しよう

これだけおトクなのですから、ふるさと納税が大人気なのも当然ですよね。一方で、自治体がふるさと納税で寄付を集めるために返礼品を競う傾向が出てきました。中にはその自治体と関係のない家電品などを返礼品とする例などもあり、ふるさと納税の趣旨から外れていると問題視されています。

またふるさと納税は、自分が住んでいる自治体に納めるべき住民税を別の自治体に納めることになるので、そのぶん自分の地元は税収が減ることになります。ふるさと納税する人が多い自治体は、財政が悪化したり必要な行政サービスが提供できなくなることもあるかもしれません。

ふるさと納税は、おトクさや返礼品に目を奪われがちですが、本来は、自分が応援したい自治体のために行うものです。それをきちんと理解したうえで、ふるさと納税をするようにしたいものです。

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