2024/09/30
定期預金の金利を計算する方法|具体例も含めて紹介
執筆者:馬場愛梨(ファイナンシャル・プランナー)

定期預金は、堅実にお金を貯めたい人に人気の金融商品です。普通預金より高い金利が主な魅力ですが、単に「金利が何%か」だけでなく、実際に利息をいくら受取れるのかも知った上で利用したいところです。
この記事では、定期預金の金利から受取れる利息を計算する方法について詳しく解説します。計算の具体例や、定期預金の金利に関する注意点などもあわせて紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
■定期預金は金利をチェック!
定期預金を選ぶ際は、金利に注目して比較するのがおすすめです。なぜ金利が重要なのか、金利のどこをチェックすればよいのか、そもそも金利とは何なのか、まずは前提となる基礎知識を簡単におさらいしておきましょう。
●定期預金とは? 金利とは?
定期預金とは、預ける期間をあらかじめ決めて利用する預金のことです。預ける期間は数ヶ月~数年の範囲内で、選ぶことができます。一般的に、預ける期間が長くなるほど金利が高くなります。
金利は、預けた金額に対する利息の割合です。高ければ高いほど利息が付きやすい(=お金が増えやすい)ということになります。
定期預金の金利は為替や景気などの経済動向で変わりますが、2024年9月現在は1ヶ月の預入だと0.03%~0.15%程度、1年だと0.05%~0.3%程度の金融機関が多いようです。定期預金には元本保証があり、たとえ金融機関が破綻しても元本1,000万円までとその利息分は保護されます(ペイオフ)。お金が減る可能性は低く、しかも普通預金より金利が高めなので、堅実に貯めたい人に重宝されています。
●定期預金を選ぶなら金利に注目
定期預金を選ぶ上で、金利は特に重要なポイントです。なぜなら、金利は最終的に得られるリターン(利益)に直結するからです。預ける期間や金額が同じでも、金利が高ければその分お金を効率良く増やせます。
ただ、「金利:年○%」といった数字を見るだけでは不十分で、以下の点もあわせて確認する必要があります。
【定期預金の金利のチェックポイント】
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前述のとおり、定期預金は預ける期間によって金利が変わります。そのため、自分が預けたい期間だと何%になるのかを、必ず確認しましょう。
また、定期預金の金利には「固定金利」と「変動金利」があります。固定金利の場合、預けてから満期を迎えるまで金利が変わることはありません。
一方、変動金利の場合は金利が一定期間ごとに見直されるため、上がる可能性もあれば下がる可能性もあります。一般的に、金利が上昇する局面では変動金利を選択するほうがお得です。
あまり知られていませんが、利息の付き方も定期預金ごとに異なります。「単利」は預けた金額に対してのみ利息がつくタイプで、「複利」は預けた金額とその利息に対して利息がつくタイプです。
複利とは「利息が新たな利息を生むこと」で、単利よりお金が増えやすいのが特徴です。同じ「複利」でも、1年複利より半年複利、半年複利より1ヶ月複利と、利息が加算されるまでの期間が短いほど有利になります。
■定期預金の計算方法
では、定期預金の金利から利息を計算するにはどうすればよいのでしょうか。基本的な計算式は以下のとおりです。
利息=元金×金利×期間
例えば、100万円を年0.3%の金利で1年預けた場合、利息は3,000円(100万円×0.3%×1年)となります。
ただ、この計算式で算出できるのは、預けている間の金利が一定かつ単利の場合です。また、定期預金の利息には20.315%の税金がかかるため、実際に受取れるのは税金が差し引かれた後の金額(上記の例の場合は2,391円)になります。
複利の場合は、計算が少々複雑になります。半年複利(半年ごとに利息が加算されるタイプ)の場合は以下のとおりです。
最初の半年間の利息:100万円×0.3%×1/2(半年)=1,500円
次の半年間の利息:100万1,500円×0.3%×1/2(半年)=1,502円
→合計利息:3,002円(税引後:2,393円)
この例では、ごくわずかですが複利のほうが単利よりもお金が増えています。単利と複利の差は、預け入れる期間が長くなるほど大きくなっていきます。
■定期預金のお金の増え方をシミュレーション
さまざまな定期預金を例に、お金の増え方をシミュレーションしてみましょう。
●例1.年0.45%の3年もの定期預金(円定期預金)
3年間預けた場合の金利が年0.45%になる定期預金の利息の目安は、以下のとおりです。
【年0.45%・3年もの定期預金(固定金利)で得られる利息】
預けた金額 | 単利 | 複利(半年複利) |
---|---|---|
100万円 |
13,500円 |
13,575円 |
500万円 |
67,500円 |
67,879円 |
1,000万円 |
135,000円 |
135,760円 |
税引前の単利の利息は、原則どおり「利息=元金×金利×期間」の計算式を使って算出できます。上記の表を見ると、同じ金額・同じ利率でも、複利のほうが単利よりもお金が増えやすいことがわかります。
●例2.年0.25%の6ヶ月もの定期預金(円定期預金)
続いて、6ヶ月間預けた場合の金利が年0.25%になる定期預金の利息の目安を見てみましょう。
【年0.25%・6ヶ月もの定期預金(固定金利)で得られる利息】
預けた金額 | 単利 | 複利(半年複利) |
---|---|---|
100万円 |
1,250円 |
1,250円 |
500万円 |
6,250円 |
6,250円 |
1,000万円 |
12,500円 |
12,500円 |
先ほどの例とは違い、単利と複利の利息はまったく同じです。この例は「半年複利」になので、預ける期間が半年以下の場合は単利と複利の差がないからです。
詳しくは後述しますが、定期預金の金利は通常「年利(1年間にどれくらい増えるか)」で記載されるケースが多い傾向です。預ける期間が1年に満たない場合、実際に計算してみて利息がいくらになるかを確認してから利用するとよいでしょう。
●例3.外貨定期預金
定期預金の中には、仕組預金や外貨預金など仕組みが複雑なものもあります。一般的な定期預金と異なり、これらには元本保証がありません(仕組預金の利息は、通常の円定期預金の店頭表示金利まではペイオフの対象になります)。リスクを取る代わりに、高いリターンを追求できるのが特徴です。
例えば「外貨定期預金」は日本円ではなく、米ドルやユーロなど海外の通貨(外貨)で行う定期預金です。為替の影響を強く受けるという特徴もあります。
米ドルの外貨定期預金で、100万円を1年間預けた場合のシミュレーションは以下のとおりです。
【前提条件】
【1年後の結果】
|
上記のシミュレーションからも、外貨定期預金は、一般的な定期預金とはまったく異なる金融商品といえます。
■定期預金の金利に関する注意点
定期預金の金利には、注意しておきたい点がいくつかあります。
- 中途解約すると金利が低くなる
- 1年未満の定期預金は計算に注意
- 計算上の金利と受取る利息は一致しない
これらを見落としたまま定期預金を利用すると、「思ったより受取れる金額が少ない」という事態になることもあるので、確実に押さえておきましょう。
●中途解約すると金利が低くなる
定期預金は、一定期間にわたってお金を預け続けることを条件に、普通預金よりも高めの金利が設定されています。
預入期間の途中で解約してお金を受取ることも可能ですが、その場合は当初約束されていた金利ではなく、中途解約した場合の金利が適用されます。ほとんどの場合、当初の金利よりも低くなってしまいます。
●1年未満の定期預金は計算に注意
定期預金の金利は、預ける期間にかかわらず「年利(1年間でどれくらい増えるか)」で記載されるのが一般的です。
1年ものの定期預金を利用する場合にはその表記がわかりやすいのですが、それ以外の場合は実際に計算しないと増える金額をイメージしにくいので注意が必要です。
例えば「3ヶ月ものの定期預金で金利3%」と書かれている場合でも、「100万円を預けたら3万円増える」わけではありません。あくまで1年間で3%なので、利息の計算は以下のようになります。
利息=100万円×3%×(3ヶ月÷12ヶ月)=7,500円(税引前)
実際の利息(税引前)は7,500円なので、「3万円もらえる」と思っていると当てが外れてしまいます。内容を正しく理解した上で利用しましょう。
●計算上の金利と受取る利息は一致しない
定期預金の利息は、「利息=元金×金利×期間」という計算式で求められると紹介しましたが、実際に受取れるのは、計算上の利息から20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)分の税金を差し引いた金額です。リターンを正確に計算するには、これらの税金を考慮する必要があります。
■定期預金は満期を迎えた後、どうなる?
定期預金は、満期まで待つと所定の金利が適用される仕組みになっています。では、満期を迎えた後はどのような扱いになるのでしょうか。
一般的には、預けるときに以下の3つのいずれかを選択できるようになっています。
【定期預金の満期後の扱い】
- 自動払戻し型……元金(預けたお金)も利息も、普通預金口座に自動的に移動する
- 元利継続型……元金も利息も、預けたときと同じ期間で預金を継続する
- 元金継続型……元金は同じ期間で預け続け、利息は普通預金口座に自動的に移動する
お金が必要になる時期が明確で、期間終了後にちょうどその時期を迎えるようなら「自動払戻し型」、まだ必要になる時期が来ておらず、このまま預けながらできる限り増やしたいなら「元利継続型」など、自分の都合に合わせて選択するとよいでしょう。
ただし、10年以上にわたって入金や出金がない口座は「休眠口座」として扱われます。休眠口座になると、通常よりもお金の引出しに手間と時間がかかることがあるので注意しましょう。
■定期預金を始める方法
定期預金を始めたいときは、早速手続きを行いましょう。基本的には以下の手順で始められます。
【定期預金の始め方】
ステップ1:どの金融機関で、どれくらいの期間、いくら預けるかを決める
ステップ2:ステップ1で決めた金融機関で普通預金口座を開設して入金する
ステップ3:定期預金を申込む
ステップ4:普通預金口座から定期預金口座にお金が移動し、定期預金がスタートする
定期預金の手続きは、金融機関によってはすべてインターネット上で済ませることも可能です。また、通常は手数料や維持費などはかかりません。無料でいつでも手軽に始められ、元本割れ(預けたお金が減ること)もないので、安心して利用できるでしょう。
■まとめ
定期預金の金利から利息を計算したい場合は、「利息=元金×金利×期間」という計算式に当てはめましょう。
ただし、実際に受取れる金額を算出するには、単利か複利か、固定金利か変動金利かなどの条件に応じた計算が必要です。また、利息には税金がかかり、それを差引かれた後の金額が受取れるということも知っておきましょう。
手軽に定期預金の利息を知りたい場合は、金融機関などが提供しているシミュレーションなどを使って試算するのもおすすめです。利息の金額を正確に把握できれば、将来に向けた資金計画を立てる際に役立ちます。定期預金を正しく知って活用しましょう。