[米国雇用統計] なぜ動いた?変動理由を詳しく解説

なぜ動いた?変動理由を詳しく解説

11月3日発表「米国雇用統計」

変動結果

発表直後からの10分間は↓円高ドル安に変動!
  • じぶん銀行FX米ドル/円10分足のチャートより抜粋
発表直前 10分後 変動幅
米ドル/円
為替レート
113.941円 113.813円 -0.128円
  • じぶん銀行FXレート
失業率 非農業部門
雇用者数
予想 4.2% +31.0万人
結果 4.1% +26.1万人
乖離 -0.1% -4.9万人
  • 結果は速報値です。

詳しい解説

1. 発表前

10月22日投票の衆議院選挙に向けては、序盤の情勢調査で「自民・公明両党が300議席に迫る勢い」と報じられ、日経平均株価が21年ぶりの高値をつける盛り上がりを見せる一方で、米ドル/円相場の方はなかなか円安の勢いがつかない状況が続いた。「与党圧勝」との選挙結果判明後、最初の取引となった23日の東京市場で、7月上旬以来の114円台をようやく回復するも、次期FRB(米連邦準備理事会)議長選任への思惑*から、上がらない米長期金利(10年国債利回り)の動きが、ドルの上値を押さえることとなり、114円を挟んでの揉み合いが月末まで継続。11月に入っても大きな変化なく、そのまま114円ちょうど近辺で指標の発表を迎えることとなった。事前予想は、「失業率」が4.2%(前月4.2%)、「非農業部門雇用者数」が+310千人(前月▲33千人)、「平均時給」が+0.2%(前月+0.5%)であった。

  • * 次期FRB議長選任への思惑
    現在のイエレンFRB議長の任期は2018年2月までであり、任命権のあるトランプ米大統領は10月中旬時点で後任を、イエレン氏(ハト派)、現FRB理事のパウエル氏(ややハト派)、米スタンフォード大学教授のテイラー氏(タカ派)を含む5名の候補者から選ぶと明言。下旬にはイエレン路線を支持するパウエル氏が本命との報道がなされ、11月2日に同氏が正式に指名された。

2. 発表直後

10月「失業率」は4.1%へ小幅に低下。「非農業部門雇用者数」は、事前予想を下回る前月比+261千人にとどまったが、8・9月分が合わせて80千人上方修正されており、それほど悪くはない内容。一方、「平均時給」は前月比変わらず、と事前予想を下回る弱い内容であった。

事前予想に届かなかった「非農業部門雇用者数」と、「平均時給」の伸び悩みに市場参加者は反応し、米ドル/円は113円60銭台へと急落。しかし「非農業部門雇用者数」は、9月に米国を襲ったハリケーンという特殊要因の調整による過去分の大幅上方修正もあり、それほど悪くはない、との見方が広がると徐々に買い戻され、114円台へと指標発表前の水準を回復した。その後は114円を挟んでしばらく揉み合いが続いたが、日本時間午後11時に発表された、10月ISM(米サプライ管理協会)非製造業景況指数が、市場予想を大きく上回ったことで米ドル/円は上昇。雇用統計発表直後にドルを売り込んだ向きの買い戻しも入り、日付が変わる頃には一段高となり、本日高値となる114円40銭台へ上昇した。

3. NYK Closeまで

米ドル/円は114円40銭台まで一気に上昇したが、114円半ばには実需筋と思しき売り物が厚く、また米長期金利(10年国債利回り)の上昇が2.36%でピークをつけ、低下に転じると、米ドル/円も徐々に軟化。ニューヨーク時間午後にはドル買い持ちの手仕舞もふくらみ、結局、雇用統計発表前の水準とほぼ同じ、114円05銭前後でCloseとなった。米長期金利(10年国債利回り)は2.33%に低下。ニューヨークダウは23,539ドル(前日比+22ドル)に上昇して取引終了となった。

4. 「米ドル/円がいったん下落後に急上昇したのはなぜ」

  • ハリケーンの影響により減少した9月の反動から、10月の「非農業部門雇用者数」は大幅に増加するとの事前予想が多かったこと、前月急上昇した「平均時給」が伸び悩んだことが嫌気されて、市場参加者はドル売りでまずは反応したが、下値は113円50銭にも届かなかったことで、下値の固さを確認するかたちとなり、売りが続かなかった。
  • さらにISM非製造業景況指数が予想外に強い内容で、ドルの買い戻しが遅れた向きが、慌てて買い戻したため、短時間で急上昇につながったと考える。

5. 当面の見通し

  • (Ⅰ)11月雇用統計

    10月の「非農業部門雇用者数」は、ハリケーンの影響が調整された内容となっており、今後はおおむね+200千人/月前後での推移が予想される。
    一方、前月比変わらずとなった「平均時給」は、詳細に見るとわずかにマイナス(▲0.04%)となっており、前年比では▲0.40%と前月の急上昇を打ち消す弱いものであった。「失業率」と「非農業部門雇用者数」が良好である反面、賃金データが力強さを見せるまでには、時間がかかりそうである。

  • (Ⅱ)米ドル/円動向

    前月の本稿では、「海外投資家の日本株ポジションのような、短期的にトレンド(方向性)の出た投資対象の巻き戻し(反対売買)が為替相場に与える影響に注意すべきと考える」と記載したが、衆議院選後の本邦株価は、上昇が一段と加速することとなり、大きく見誤ることとなった。もっとも、米ドル/円相場の上昇もここまでは限定的であり、年末に向けて株価同様一段高となるか、相場は正念場を迎えている。
    振り返ると、年初から「基調としての円高」を軸とした考えのもとで、米ドル/円相場を見てきたが、筆者は5月にも一度相場の方向性を見誤っている。この時は、市場参加者が過度に反応した地政学的リスク(北朝鮮動向および仏大統領選)への反動と、短期的な外国人投資家の日本株投資動向を背景に、ドル高方向を予想していたが、米国で「ロシアゲート疑惑」が浮上し、世界的な株価下落とともに米ドル/円相場は下落することとなった。想定外のタイミングでの事象発生ではあったが、奇しくも当時も外国人投資家の日本株投資家動向を、米ドル/円相場の方向性の拠り所としていたところに、間違った理由があると思っている。

    繰り返しとなるが、北朝鮮情勢は武力衝突とならない限りは一過性のものであり、中長期的な相場の方向性を決めるのは米国の金融政策と景気情勢、および本邦の貿易・経常収支動向との考え方に帰ってみよう。

    10月31日~11月1日に開催されたFOMC(米連邦公開市場委員会)声明文からは、市場参加者が予想する、次回12月での利上げ見通しに変更はない。ジェローム・パウエルFRB新議長の選任で、金融政策の方向性は大きく変わらないだろうが、空席となる3理事の人選次第では、波乱があるかもしれない。ただ新議長でのFOMCは来年3月からでまだ時間がある。

    本邦貿易収支は2016年から黒字に転じているが、トランプ米大領領の来日で11月5日から行われた日米首脳会談では、「日米貿易不均衡是正」がテーマの一つとなった。大統領就任後からドル安政策を掲げてきたトランプ政権は、会談で為替相場に具体的に触れることはなく、防衛装備品購入等で日本が輸入拡大を図るとなれば、米ドル/円相場への影響は小さいであろう。

    日銀の黒田総裁は、6日に名古屋で行った講演で、「低金利の継続が金融仲介機能に与える影響については、今後とも注視していきたい」との判断を示した。低金利環境(マイナス金利)が続き、金融機関収益の下押しが長期化すれば、金融仲介が停滞方向に向かうリスク、すなわち追加緩和のデメリットについて認識していることを示したものである。欧米中央銀行が量的金融緩和からの出口へ向かう中、2%の物価目標達成時期の先送りを続ける日銀だけが逆行することは難しく、本邦長期金利は現行水準での保合いがしばらく続くであろう。これは米ドル/円相場にとって中立要因である。

    9月上旬の107円台前半を起点とした米ドル/円相場は、2ヶ月が経過し、値幅は約7円とゆるやかで過熱感がない状況である。年度下半期の需給を考えると、110円を割り込む可能性はやや後退し、5月、7月の高値である114円半ばを上抜ける可能性を意識せざるを得ない。6日の東京時間での滞空時間は極めて短いものであったが、再度挑戦の際には、年初の高値である118円に向けての相場が始まるものと予想する。

    予想レンジ:
    112円50銭~115円50銭(向こう1ヶ月程度)
    110円~118円(向こう半年程度)
  • 当内容は2017年11月7日現在の見解です。
執筆者:
株式会社じぶん銀行 ALM部長 島本薫

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