[米国雇用統計] なぜ動いた?変動理由を詳しく解説

なぜ動いた?変動理由を詳しく解説

4月5日発表「米国雇用統計」

変動結果

発表直後からの10分間は↑円安ドル高に変動!
  • じぶん銀行FX米ドル/円10分足のチャートより抜粋
発表直前 10分後 変動幅
米ドル/円
為替レート
111.549円 111.734円 0.185円
  • じぶん銀行FXレート
失業率 非農業部門
雇用者数
予想 3.8% +18.0万人
結果 3.8% +19.6万人
乖離 0.0% +1.6万人
  • 結果は速報値です。

詳しい解説

米国3月雇用統計発表(4月5日21:30)前後の為替動向について

1. 発表前

3月の米ドル/円相場は、年初の急落からの戻り相場が継続し、111円台半ばで始まった。米2月ISM(米供給管理協会)非製造業景気指数が、市場予想を上回る結果となり、月間高値となる112円13銭まで上昇(3/5)したが、ECB(欧州中央銀行)政策理事会(3/7)の結果*1を受け、110円台後半まで急落。一旦は111円台後半まで戻すも、112円台の上値の重さが意識され、当面金利維持を示唆し、市場の想定を上回るハト派的な結果となったFOMC(米連邦公開市場委員会、3/20)後には、110円を割り込んだ。
しかし月末にかけてドルは底堅い動きとなり、4月に入ると再び騰勢を強め、111円台後半まで上昇し、111円70銭近辺で指標の発表を迎えることとなった。
事前予想は、「失業率」が3.8%(前月3.8%)、「非農業部門雇用者数」が+180千人(前月+20千人)、「平均時給」が+0.3%(前月+0.4%)であった。

  • *1「主要政策金利は少なくとも今年末まで、また必要な間、現行水準にとどまると予想する」と、政策金利のフォワードガイダンス(中央銀行が、前もって将来における金融政策の方針を表明すること)が修正され、成長率とインフレ予測が下方修正された。

2. 発表直後

3月「失業率」は、前月と変わらず3.8%。「非農業部門雇用者数」は、事前予想を上回る前月比+196千人(1・2月分は14千人の上方修正)。「平均時給」は、事前予想を大きく下回る前月比+0.1%(前年比は+3.20%)と、まちまちの内容となった。

発表直後の米ドル/円は、事前予想を大きく下回った「平均時給」に反応して、111円55銭まで下落。しかしすぐに111円80銭近辺まで戻して、その後は上下10銭程度の狭い範囲での揉み合いとなった。

3. NYK Closeまで

事前予想を上回った「非農業部門雇用者数」と、下回った「平均時給」と、内容は悪くないが力強さにも欠ける内容となり、ニューヨーク時間は終始動意に乏しい展開となった。米長期金利(10年国債利回り)や米株価の動きも穏やかなものとなり、結局111円70銭前後と、指標発表前とほとんど変わらない水準でクローズとなった。米長期金利は2.50%へ小幅低下。ニューヨークダウは26,424ドル(前日比+40ドル)と3日続伸となった。

4.「米ドル/円が小動きに終始したのは何故」

  • 雇用統計はまちまちの内容となり、ポジションを大きく傾ける材料とはならなかったことが挙げられる。
  • 「利上げ休止」を明言したFRB(連邦準備制度理事会)の金融政策の変更を促すためには、長期にわたり経済指標を見極める必要があり、今回の雇用統計は例月に比べ注目度が低かった、とも考えられる。

5. 当面の見通し

  • (Ⅰ)雇用統計

    3月の「失業率」(3.8%)は横這いとなった。昨年12月から1ヶ月超続いた米政府機関の一部閉鎖により、1月に一時的に上昇したが2月には減少。その後の横這いは概ね想定通りの結果である。足元では「新規失業保険申請件数」が減少しており、「失業率」は今後さらに低下する可能性がある。一方、「非農業部門雇用者数」(前月比+196千人)は、市場予想を上回ったが、大幅に減少した2月分の上方修正は僅かに留まっており、それほど楽観できる内容ではない。また、「平均時給」(前月比+0.1%、前年比+3.2%)は、単月で見ればやや期待外れの内容となったが、上昇トレンドは継続している。

  • (Ⅱ)米ドル/円動向

    昨秋に発生した世界的な株価急落、昨年末から年始にかけての金融市場の急激なリスクオフを受け、筆者は2019年第1四半期の注目点を、①悪化した投資家マインドが好転するか、②次なる利上げの可能性を確認すべく、米国経済指標を見極めたい、としていた。①については、予想以上の速さでの米国株の反発や、PMI指数*2の改善に見られる通り、投資家マインドは、株価急落前の水準まで回復したと思われる。②について、1-3月に発表された米国経済指標は、まずまずの内容であり、景気後退懸念は全く感じられない。しかしながら、FRBの金融政策の方向は、筆者の予想とは大きく異なり、次なる利上げの可能性は大きく後退することとなった。

    • *2Purchasing Manager’s Indexの略。製造業やサービス業の購買担当者を対象に、生産意欲などのアンケート調査を行い、指数化したもの。「購買担当者景気指数」とも呼ばれる。

    FRBは、昨年12月FOMC(12月18-19開催)で、事前予想通り追加利上げを実施。同時に今後の利上げについては「経済指標次第」であることを示したが、昨年末にかけて金融市場の急激なリスクオフを招いた事で、①パウエルFRB議長は年初に「今後は利上げを小休止することが選択肢に入っている」と発言。②1月FOMC(1/29-30開催)で、「(さらなる金融引き締めに関して)辛抱強く待つ余裕がある」と「利上げ一時停止を明確に示唆」した。③3月FOMCでは、Dots(政策金利見通し)が全面的に大幅下方シフトされて2019年は年内据え置き、2020年の利上げ回数は1回、とハト派色を強めるものとなった。「低インフレ下で利上げを続けるFRBの金融政策が、昨秋の株価急落の原因」、と非難していたトランプ米大統領は、利下げと量的緩和の再開を主張しており、年始からの市場(株価)動向を踏まえれば、今後経済指標が少々強含んだとしても、FRBが追加利上げを敢行するハードルは、かなり高くなったと考えられる。

    最近では、日米金利差と米ドル/円相場の相関性は薄れているが、米金利先高観の後退は、ドルの上値を抑えることとなる。もっとも、金利だけが為替相場の動向を決定づけるものではない。①大詰めを迎えている米中通商協議は、「大半の問題が解消された」(4/2 英Financial Times紙)と報道され、合意が近づいている模様である。②懸念された中国経済の先行きは、中国当局が打ち出した大型減税やインフラ投資の効果により、年後半には底入れするとの見方が多くなっている。③原油相場が堅調に推移し、足下ではリビア情勢悪化を材料に60ドル台乗せとなり、年央以降は本邦貿易収支の悪化が想定される。④リスクオンの象徴でもある、ビットコイン相場が昨秋の水準を回復している。これらは円安(リスクオン)要因として考えられる。一方で、英国のEU離脱(Brexit)問題は混迷を極めている。本稿執筆時点では、4/12に延長された離脱期限が迫る中、与野党間で協議が継続されている。第2回国民投票実施することを前提に長期延期をEU(欧州連合)に要請する可能性が浮上する一方で、離脱案も何も決められないまま「合意無き離脱」となる可能性も残っている状況。後者の場合には、金融市場の混乱は不可避と考えられ、現時点で大きくリスクを取れる投資家は少ないものと思われる。

    日本に目を向けると、3月日銀短観(全国企業短期経済観測調査)では、大企業の業況判断指数が前回(12月)比で悪化、先行きの見通しも悪化するなど、景気の減速感がより鮮明となった。10月に予定されている消費増税は、果たして実施されるのであろうか。平成31年度予算がすでに成立しており、撤回となる可能性は低いものの、景気減速下での敢行には違和感が残る。一方、日銀の金融政策にも手詰まり感が窺える。昨年7月の金融政策決定会合で、10年国債利回りの変動幅を拡大する決定を下した際には、下方ではなく、上方への変動幅拡大を意図したものと思われたが、黒田日銀総裁は、2月下旬に「金融緩和の出口のタイミングや対応を検討する局面には至っていない」と、出口戦略が後退していることを暗示した。足下で10年国債利回りは、再びマイナス圏での推移が定着しようとしている中で、日銀は国債買入オペの減額を見送り続け、そこからは、利回りをプラス圏に引き戻そうとする意図は感じられない。これがハト派に傾斜する欧米の中央銀行に日銀も追随することを意味しているのかは、現時点では憶測に過ぎないが、4月の金融政策決定会合(4/24-25開催)でヒントが得られるかもしれない。

    引き続き世界経済の減速懸念がくすぶる中で、年末に向けては円高(リスクオフ)方向をメインシナリオと見る向きは多い。英国のEU離脱(Brexit)問題という不透明な材料は残るが、長期延期要請がEUに承認されれば、2回目の国民投票実施でEU残留の可能性は強まり、最大のリスクオフ要因は解消されるであろう。米中通商協議の合意が加われば、夏場にかけて為替、株ともにリスクオンとなる場面が訪れると筆者は考えている。しかし中期的に見ると、独自での円安要因がなく(円安を伴う金融緩和策は考えづらい)、米金利の先高観が後退している状況下での円安モメンタムには、限界があるとも考えられる。月足チャートでは115円超えから上昇が加速するように見えるが、その前に昨秋高値の114円台後半での攻防が注目である。それまでは急落せずにじわりと円安が進むだけで十分でないか。

    予想レンジ:
    110円00銭~113円50銭(向こう1ヶ月程度)
    108円00銭~115円00銭(向こう半年程度)
  • 当内容は2019年4月9日現在の見解です。
執筆者:
auじぶん銀行株式会社 ALM部長 島本薫

本画面に掲載されている情報(以下、本情報)は、情報提供のみを目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。投資の最終決定はすべてお客さまご自身でご判断くださいますようお願いいたします。

本情報は信頼できる情報源から得た情報に基づき作成されていますが、auじぶん銀行(以下、当行)はその情報の正確性・完全性を保証するものではありません。また、過去の結果が必ずしも将来の結果を暗示するものではありません。

本情報は執筆者の見解に基づき作成されたものであり、当行の統一された見解ではありません。本情報を使用することにより生ずるいかなる種類の損失についても当行は責任を負いません。

なお、当資料の無断複製、複写、転送はご遠慮ください。当行の都合により、本情報の全部または一部を予告なしに変更することがありますので、予めご了承ください。また、本情報は著作物であり、著作権法により保護されております。当行の書面による許可なく複製又は第三者への配布をすることはできません。

月に1度の米国雇用統計に注目!

ログイン後、各種メニューからお取引いただけます。

「外貨預金」「じぶん銀行FX」には元本割れや投資金額を超える損失が発生するリスクがあります。また、手数料がかかる場合があるため、各商品の重要事項を必ずご確認ください。

  • 外貨預金には為替変動リスクがあります。外貨預金の預入時(円→外貨)より払戻時(外貨→円)の為替相場が円高になる場合、または為替相場にまったく変動がない場合でも、払戻時(外貨→円)の為替手数料(1米ドルまたは1ユーロあたり25銭、1豪ドルあたり50銭、1ランドまたは1中国元あたり20銭、1NZドルあたり40銭、1レアルあたり90銭、100ウォンあたり20銭)がかかるため、払戻時の円換算額が、預入時の円貨額を下回る(円貨ベースで元本割れとなる)可能性があります。
  • 外貨預金は預金保険制度の対象外です。
  • 中国元、レアル、ウォン、ランドは各政府の通貨政策や市場環境の変化などにより、流動性の低下、市場機能の低下および規模の縮小の可能性があり、為替レートが大幅に変動するリスクやお取引を停止する場合があります。中国元、レアル、ウォン、ランドのお取引にあたっては、これらのリスクがある点をご理解のうえ、お取引ください。
  • 詳しくは、外貨預金の詳細および契約締結前交付書面を必ずご確認いただき、お取引ください。

  • じぶん銀行FXは元本保証されたものではなく、「外国為替」を売買する取引であることから、外国為替相場(売買対象通貨の価格)の変動などにより損失が生じる可能性があります。また、投資金額を超える損失を被る可能性があります。
  • じぶん銀行FXとは、一定額の「証拠金」を預けて、投資金額に比べて大きな金額の「外国為替」を売買できる取引です(外貨預金とは異なります)。取引維持のために必要な証拠金額は、建玉の建値の4%です(新規注文時に必要な証拠金額は、新規建玉の建値の5%)。
  • じぶん銀行FXにおいて、当行が提示する売値と買値の間には差額(スプレッド)があります。流動性が著しく低下する時間帯や経済指標発表時など、相場状況によってはスプレッドが拡大する可能性があります。
  • スワップポイント(金利差調整額)をお受取りまたはお支払いいただきます。スワップポイントは、一定期間固定されたものではなく、取引対象通貨の金利情勢などに応じて変動し、受取りから支払いに転じることがあります。
  • 必ず重要事項をご確認いただき、十分にご理解のうえ、お取引ください。
商号等 auじぶん銀行株式会社
登録金融機関 関東財務局長(登金)第652号
加入協会 日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会
じぶん銀行FXにおける重要事項

auじぶん銀行株式会社