1月8日米国雇用統計はどうだった?
Q. 発表後はなぜ↑円安ドル高へ動いたのか
発表直後は、市場予想を大きく上回る「非農業部門雇用者数」の結果を受けて、米ドル/円は118円80銭台まで上昇しました。ところが米長期金利下落などの影響を受けて反落し、発表直前の水準を下回る118円台前半で揉み合うこととなりました。
失業率 | 非農業部門 雇用者数 |
|
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予想 | 5.0% | +20.0万人 |
結果 | 5.0% | +29.2万人 |
乖離 | 0% | 9.2万人 |
- 結果は速報値です。
Q. 今後の米ドル/円はどう動く?
- 次回の米国雇用統計(2月5日22:30発表予定)
-
「失業率」は4ヶ月連続して5.0%、「労働参加率」も2ヶ月連続して上昇となったので、次回も横ばいに推移するものと思われます。
- 米ドル/円の動向
-
世界同時株安・原油安によるリスク回避の動きをはじめ、いくつかの要因が重なり米ドル/円は年初より円高の動きとなっています。昨年6月に125円後半のドル高値をつけて以降、米利上げといった円安ドル高材料がありながらも、ドル高値を更新することなく現在に至っています。
FRBの見通し通り、年4回の追加利上げが実施されることとなれば、一方的に円高が進むことはないでしょうが、現時点までに発表されている経済指標や、年初から不安定な金融市場の状況を鑑みれば、3月の利上げは見送りとなる可能性が高いものと考えられます。この先1ヶ月程度の米ドル/円相場は、戻り売りに上値の重い展開になると予想します。一方で、株式市場や原油市場の下落が止まらずに、昨年8月のような外国人投資家による日本株投資ヘッジによる円買いの動きには注意が必要です。
- ※当内容は、2016年1月13日時点の見解です。
米国12月雇用統計発表(1月8日22:30)前後の為替動向について
1. 発表前
9年半振りの利上げを決定した昨年12月のFOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨では、参加メンバーの多くがインフレの下振れリスクを懸念していた事が判明した。会後に公表された政策見通しでは0.25%の利上げが年4回あることが示唆されていたが、今後の利上げペースを予想する上で、12月雇用統計では「非農業部門雇用者数」だけでなく、インフレ関連指標(賃金上昇率)が注目された。
米ドル/円相場は、昨年12月18日の日銀決定会合で「量的・質的金融緩和を補完するための諸措置の導入」発表直後につけた123円半ばを高値に下落に転じ、年初1月4日に120円を割り込むと下げが加速。昨年8月以来となる117円台をつけた後、118円前半で指標の発表を迎えた。
一方、米国長期金利(10年債利回り)は、利上げを決定した12月17日以降も追加利上げを織り込むことなく2.2%台半ばでの推移が続いていたが、年初から世界的な株安・原油安の流れを受け、2.1%台前半に低下して指標の発表を迎えた。
事前予想は、「失業率」が5.0%(11月5.0%)、「非農業部門雇用者数」が+200千人(11月+211千人)、「平均時給」が+0.2%(11月+0.2%)であった。
2. 発表直後
12月「失業率」は前月と同じく5.0%と予想通り。「非農業部門雇用者数」は市場予想を大きく上回る前月比+292千人となり、10・11月分も50千人の上方修正。しかし「平均時給」は前月比変わらずと予想を下回る内容であった。
市場予想を大きく上回る「非農業部門雇用者数」の結果を受け、米ドル/円は118円80銭台へ上昇したが、注目された「平均時給」が予想を下回ったことが嫌気され、米長期金利が急低下したことを受け反落。発表直前の水準を下回り118円台前半で揉みあうこととなった。
3. NYK Closeまで
前日までのドル売り地合いが堅調な雇用統計で反転することも期待されたが、ドル売り圧力は強く、日付が変わると米ドル/円は117円台へ下落。米株が寄り付きから軟調な推移となったことから、ロンドン市場引け後に一段安となり117円台前半でClose。円は全面高となり豪ドル/円やNZドル/円などのクロス通貨も軒並み円高となった。
10年債利回りは指標発表直後に2.2%台へ上昇するも、急速に低下に転じ2.1%台前半でClose。ニューヨークダウは堅調な雇用統計への反応は鈍く、年初からの軟調地合いを変えることなく、前日比170ドル近く下落してCloseとなった。
4. 「堅調な雇用統計にも関わらず米ドル/円が下落したのはなぜ」
- 「平均時給」こそ事前予想より弱かったが、予想を大きく上回った「非農業部門雇用者数」からは、119円台への上昇があっても不思議でない状況であったが、実際の値動きの中でドルの高値は118円80銭台までで、かつ指標発表前の水準を上回っていた時間も短いものであり、ドルの上値の重さを改めて感じさせられた値動きであった。
- その背景には日銀政策決定会合で「量的・質的金融緩和を補完するための諸措置の導入」が発表されたにもかかわらずドルが下落した、昨年12月18日を起点とするドル下落の流れがある。「追加緩和ではない」(会合後の記者会見での黒田日銀総裁談)とはいえ、補完措置の発表が材料出尽くし感を醸成してしまった感は否めない。年末にかけてドルがじり安となる中で、年初からの世界同時株安・原油安でリスク回避の動きが一気に強まり120円を割り込んだことでドル下落の流れがはっきりとなり、昨年8月と同様に「円高・株安」が加速する結果となった。
- かかる状況下では、堅調な雇用統計が売り遅れた投資家に新たなドルの売り場を提供することとなるのは不可避であったと思われる。
5. 当面の見通し
- ①1月雇用統計
「失業率」は4ヶ月連続して5.0%。「労働参加率」も2ヶ月連続して上昇となったので今後も横ばい推移となると思われる。心配なのは「平均時給」であり、インフレの下振れリスクを懸念しているFRBとしては、再度伸びが加速するかが追加利上げを占う材料となろう。
- ②米ドル/円動向
年初から円高の動きとなっている。正確には円高とドル高が同時進行しており、米ドル/円だけでなく、クロス通貨でも円全面高となっている。世界同時株安・原油安によるリスク回避の動きが円買いを強めている面もあるが、従来から指摘している通り、(1)貿易赤字の縮小により、需給面では今後は円高・ドル安地合いとなっていくこと、(2)米国サイドからドル高を懸念する発言が相次いでいること、(3)昨年10月末に発表された『日銀展望レポート』から推察されるように、日銀追加緩和の可能性が後退、またはその時期が後ろずれしていること、といった円高要因が現実のものとなりつつあることが挙げられる。
安倍政権が誕生した2012年秋から、「アベノミクス」の下で日銀による異次元緩和政策が導入され、東日本大震災後の原発停止によるエネルギー輸入の増加が貿易赤字を拡大し、米ドル/円は70円台後半から125円まで円安が進行したが、2015年は、それ以前の2013年、2014年と状況が異なっていた。米ドル/円こそ円安であったが、それ以外のクロス通貨はおおむね全ての通貨で円高(前年末との比較)となっており、すでに円安のピークは過ぎていたと考えられる。
米ドル/円は昨年6月に125円後半のドル高値をつけて以降、米利上げ(日米金利差拡大)といったドル高・円安材料がありながら、ドル高値を更新することなく現在に至っており、チャート上では「アベノミクスライン」と呼ばれる2012年秋からの支持線を遂に今月明確に下抜けた。さらに日銀短観で大企業が2015年度下半期の想定為替レートである118円を一時的にではあるが下抜けたことで、投資家が円高を意識せざるを得ない状況となってきた。
もっともFRBの見通し通り、年4回の追加利上げが実施されることとなれば、一方的に円高が進むことはなかろうが、現時点までに発表されている経済指標や、年初から不安定な金融市場の状況を鑑みれば、3月の利上げは見送りとなる可能性が高いものと考える。従って2016年は「Emotional」にはドル高だが「Logical」には円高となるものと思われる。
1月11日のアジア市場で116円台後半まで円高が進んだことで、一旦はドルの買戻しも入って揉み合いとなる場面もあると思われるが、米ドル/円相場は向こう1ヶ月程度、戻り売りに上値の重い展開となると予想する。一方で株式市場や原油市場の下落が止まらずに、昨年8月のような外国人投資家による日本株投資ヘッジによる円買いの動きには注意が必要であろう。
予想レンジ:115円半ば~120円半ば
- ※当内容は2016年1月13日現在の見解です。
執筆者:株式会社じぶん銀行 ALM部長 島本薫
予想
1月8日米国雇用統計発表後の米ドル/円為替相場はどうなると思いますか?

- ※募集期間 2015年12月21日(月)~12月24日(木)
「↑円安ドル高」と予想した方のご意見
利上げのニュースや最近のアメリカ経済の動きなど世界が注目をしている中で、やはり経済が回復しているのを見ると、雇用統計も予想を超える可能性を信じ円安ドル高へ動くと思う!
sa08j
30代 男性
米国金利の上昇に伴い米国企業の投資が増え、その結果雇用が確保され安定的な企業の経済活動が展開。結果、米国にドルが回帰するので円安に触れていくのではないかと思う。
ADACO
60代 男性
米国経済は一応好調。前回の雇用統計も悪い数値ではなかった。今回急に落ち込むことはないと思うので次の利上げへの期待も織込まれ、ドルが買われると思う。
ハナ
30代 男性
米国はゼロ金利政策をすでに見直しており、失業率も低い水準で推移していることから、テロなどの突発事象がない限り今の水準かややドル高が続くと思う。
NKAZ
50代 男性
「↓円高ドル安」と予想した方のご意見
FRBの利上げ以後、長期的には円に対してドルはじり高に推移すると思われる。しかしながら、新興国の景気失速や、逆に金利が上がった米国内での資産運用に投資家の資金が推移することによって、短期的には、米国や日本の経済指標をきっかけとして、まだ安定感が根強い円に対しての買いが入る公算が大きい。
リーキ
30代 男性
雇用統計の数字的には悪いものではないと思われます。しかしながら利上げの影響と米国の成長もそろそろ…という考えを巡らせる投資家が多いと予想します。『利上げ=好景気』と捉えられていれば良いですが、安定性の高い円に集まる可能性が高いとよんでいます。
ひーさん。
20代 男性
雇用統計の結果次第ですが、仮に結果が良くても12月に利上げをしたばかりなので円安方向には進まないと思います。逆に雇用統計の結果が悪ければ、次回の利上げ時期が遅くなると判断され円高方向に進みやすいと考えます。
dolphin_kids
40代 男性
現在、昨年とあまり変わらない円安水準になっており、年明けとともに何かしらの変動があると思っておりますので、円高にかけてみました。
ガンちゃん
40代 男性
「→そのまま」と予想した方のご意見
市場に反映するのはもう少し遅いと思うので。
まゆ
40代 女性
最大のイベントの利上げが、終わったばかりだから。
アギラ
50代 男性
「↑円安ドル高」と予想した方のご意見
-
アメリカ国内にはドル高傾向を懸念する声が多くあるみたいで、仮に政府が対応策に動いたとこで単発的なことに終わりそうなので円安ドル高傾向は続くでしょう。
ミツル
40代 男性 -
利上げしたばかりで雇用統計の数字が良ければ素直に上がると思った。ここ最近の指標も悪くないし、悪い要素がないため結果は良いと思う。
やんぐ
30代 男性 -
アメリカの原油輸出解禁に伴い、石油製品の値上がり・物価上昇があるものの輸出による貿易黒字となれば景気は良くなると思います。
ameneko99
40代 男性 -
雇用統計の改善が、米国経済の強さを示すことになると思う。一方、原油価格の動向による不安定感は依然として存在している。
ボニーちゃん
60代 男性 -
米国の経済状況は、ゆっくりではあるが好転が進んでいると感じる。これが基調となり、継続してドル高が進むと感じる。
トクガワ家康
50代 男性 -
現在のアメリカの経済情勢は世界2位の中国に比べたら堅調であり、雇用情勢も良好であると認められることから。
モロ
50代 男性 -
米国の景気の良さがさらに意識されるとともに、日本の景気刺激のため日銀の追加緩和に期待が高まるから。
ぽんぽこ
40代 男性 -
年末年始はお金の流通が盛んで米ドルの利上げ効果もあり、円安ドル高が進むと予想します。
たいよう
40代 男性 -
一年の計だからです。2016年のトレンドがそうなると予想します。
ホーリー
50代 男性 -
アメリカ経済は上向きで 世界の経済をひっぱる立場だから。
トミー
40代 男性 -
海外旅行で使うために円安になる。
キング
40代 男性 -
東京オリンピックまで円安。
クマシカ
60代 男性 -
クリスマス商戦、年末商戦
ヨシくん
60代 男性 -
新年だから、縁起良く。
サンスマイル
40代 女性
「↓円高ドル安」と予想した方のご意見
-
円安への動向は12月で終了。今後は緩やかながらも円高へ。アメリカの利上げが影響するのかも。
為替差損くん
50代 男性 -
原油安の動きは止まらず、先行き不透明感あり。雇用は予想を下回り、弱気な動きになる。
にっしゃん
60代 男性 -
原油の値下がりとブラックマンデーやクリスマスでもドルが伸びなかったから。
けんけんさん
40代 男性 -
まだ投資初心者なので、これまでの短期間のFX利用からの予想です。
nortaka
40代 女性 -
米国が長年実施していたゼロ金利政策が終わったため。
ラプンツェル
40代 女性 -
日本の景気と反比例して海外へ旅行に行く人が多いから。
つかつか
50代 男性 -
雇用の状況が悪化していると考えられるから…
ひい
40代 女性 -
自分の気分が良かったから、なんとなくです。
富五郎
50代 男性 -
よく分からないけど、希望的観測かなぁ。
良いと負け94
30代 女性 -
クリスマス休暇に入り世界的に動きが鈍る。
da
50代 男性 -
大統領交代の時期も迫っているから。
Soru
30代 女性 -
第六感
thecure
40代 男性
「→そのまま」と予想した方のご意見
-
自分は為替相場のこと自体は詳しくはないが、今後のことを考えると、もうこれ以上は動くことはないと思う。
九州出身の日野市民
40代 男性 -
景気は良いといわれているが、継続的な改善なしでは飛びつかない時代だと思う。
かこ
50代 女性 -
12月の利上げ以降、16年度の利上げは不明であり、米国にはドル高不安もある。しかし米国雇用統計の結果は悪くないものとなるだろうから、結果、相殺のような形で特には動かないと考える。
maru
60代 女性 -
特に動く根拠が見当たらない。
アーモンドチョコレイト
50代 男性 -
当面揉み合い。
アラブのくじら
50代 男性
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