前半下落が有利!?意外と知らない積立のはなし
執筆者:FPアソシエイツ&コンサルティング
2017年4月12日

収益のブレを抑えるには、投資対象だけでなく購入時期を分散させることが有効と、前回の記事でご紹介しました。特に、長期の資産形成では、一定金額ずつ定期的に購入していく「積立型投資」が王道といえます。というのも定額の積立型投資を行うと、購入する商品の価格が低いほどより多く、高いほどより少なく商品を購入することになるため、結果的に平均購入価格を抑える効果が期待できるのです。
積立期間中の値下がりはむしろ有利になることも!
誰しも買ったとたんに値が下がるとイヤな気分になりますが、積立型投資では、買い始めたとたんに価格が下がっても焦る必要はありません。価格が低迷している期間は、その分たくさん買えている(安く仕込める)と考えればいいわけです。価格の低迷期間が長いほど、その後価格が上昇を始めると、買い始めた価格に戻らなくても、思いのほか早い段階から利益が出始めるというのが積立型投資の特徴といえます。
![[図]](./img/img_01.png)
上図は、当初1米ドル=100円から米ドルを毎月2万円ずつ10年間積立式で購入し続けた場合、その後の為替レートの動きによって、円換算評価額(残高を円に換えて計算した額)がそれぞれいくらになるかを示しています。
上図の緑の線のように、前半順調に円安が続いても、後半から円高になり最終的には預入れスタート時と同じ1米ドル=100円に為替レートが戻った場合と、まったく逆の動きをした黄色い線の場合とを比べてみましょう。
黄色い線は、円高が進んだ前半にたくさん米ドルを買うことができていたため、後半にかけて大きな利益につながっていきます。一方で、前半は円安だったにも関わらず、後半円高となった緑の線では、最終的に元本割れとなってしまいました。調子よく値上がりが続くような局面では、売り時(円を戻す時)を考える必要が出てくるということです。
![[図]](./img/img_02.png)
また、上図の水色の線のように、前半に円高が進み、後半にスタート時の1米ドル=100円まで回復しなくても、ピンクの線のように年1.5%ずつ着実に円安が続いた場合より、最終的な円換算評価額が大きくなっていることがわかります。これも円高の期間にたくさん買えた効果なのです。
積立型投資は、投資を始めた後で値下がりが進んでしまうような場合にも、大きなストレスを感じずに長期投資を行う方法として、たいへん優れているといえるでしょう。
外貨投資も購入時期の分散を!
外貨への投資を考える場合、さまざまな要因で為替レートは大きく円高方向に動くことも、円安方向に振れることもあります。円高になった時点でまとめて買い込もうと考えがちでしょうが、購入後にさらに円高が進めば、強いストレスを抱えてしまうことになるでしょう。
積立型投資を活用すれば、円高の時にはより多くの外貨を、円安の時にはより少ない外貨を購入することになるので、平均購入為替レートを低くすることができます。さらに自動積立のようなシステムを利用すれば、一度毎回の購入日や金額(円)を設定すれば、あとは自動的に外貨を買い付けてくれて大変便利です。例えば、auじぶん銀行の「外貨自動積立」は100円から設定できるので、投資に回せる資金が少ない人でも、「毎月の給料日後に、米ドル:ユーロ:豪ドルを2:1:1の割合で積立てる」といった使い方ができます。
外貨投資も他の運用商品への投資と同様に、短期的な為替レートの動きに一喜一憂せず、長期にわたって少額ずつでも積立型の投資を続けていくことが、誰にでもできる資産形成の近道といえるのです。
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