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特集 | 住宅ローン

2023/3/16

外国人でも住宅ローン借入れは可能?審査基準や、組むのが難しい理由を解説!

監修者:竹下 昌成

近年、日本国内に居住している外国籍の方が増加しています。2010年末に約209万人だった在留外国人の総数は、10年後の2020年末には約289万人にまで上昇しています。

在留している外国人の方のなかには、「今後長い時間を日本で過ごすので、住宅を購入したい」と考えている方もいるのではないでしょうか。

なお、地域や物件によって異なりますが、新築住宅の平均価格は3,000万円台~4,000万円台と、一括払いで購入するのは困難なケースが多いため、「住宅ローン」を組んで購入するのが現実的です。

しかし、「外国籍でも住宅ローンを利用できるのか」と不安を感じるかもしれません。本記事では、住宅ローンの利用を検討している外国人に向けて、借入れが可能かを解説します。

申込条件や審査基準、ローンを組むのが難しい理由、住宅ローンの審査に通過するための対策も紹介するので、借入れを検討する際の参考にしてください。

外国人でも日本の住宅ローンを利用できる?

外国人でも日本の住宅ローンの利用は可能です。しかし、金融機関によって、利用条件が異なる点にご注意ください。

「永住権を取得するべきか」気になっている方も多いと思いますので、「永住権の有無」と「住宅ローンの借入れ」の関係性を、次節で詳しく説明します。

永住権を取得しているほうが有利

多くの金融機関では「永住権を取得していること」を住宅ローンの融資の条件にしていますが、金融機関によっては「永住権なし」であっても住宅ローンの借入れが可能なケースがあると覚えておきましょう。

永住権を取得していない場合は、後述するように「日本人の配偶者が連帯保証人になる」といった条件が課される可能性がある点にご注意ください。

永住権を取得する要件、申請方法

永住権とは、外国人が期間の制限を受けることなく滞在国に居住できる権利です。日本の永住権を取得するためには、一般的に以下の3要件を満たさなければなりません。

1.素行が善良であること
2.独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
3.その者の永住が日本国の利益に合すると認められること

1つ目の要件である「素行が善良」とは、「法律を守り、社会的に非難されない生活を営んでいること」を意味します。犯罪を起こしたり、暴力団などの反社会的勢力と関係を持ったりしてはいけません。

2つ目の要件は、「日常生活で公共の負担にならず、保有する資産または技能等から見て、将来に安定した生活が見込まれること」を意味します。定職に就き、生活基盤を安定させ、納税を行う姿勢が重要です。

3つ目の要件の、「日本国の利益に合する」表現は抽象的で、イメージしにくいかもしれません。具体的には、以下の条件を満たす必要があります。

  • 原則として10年以上日本国内に在留している(期間のうち、就労資格(在留資格「技能実習」および「特定技能1号」を除く)、または、居住資格をもって引き続き5年以上在留していることを要する)
  • 罰金刑や懲役刑などを受けておらず、公的義務(納税、公的年金、公的医療保険の保険料の納付、出入国管理および難民認定法に定める届出など)を適正に履行している
  • 現に有している在留資格について、出入国管理および難民認定法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間をもって在留している
  • 公衆衛生上の観点から有害となるおそれがない

以上が、永住権の一般的な取得要件ですが、「日本人、永住者、特別永住者の配偶者または子である」「難民の認定を受けている」といった場合には、在留期間に関する要件が緩和されます。

例えば、日本人、永住者、特別永住者の配偶者であれば、「婚姻生活が3年以上継続し、かつ、引き続き1年以上日本国内に在留している」場合、在留期間が10年に満たなくても要件を満たすと理解しておきましょう。実子などは、1年以上日本国内に継続して在留していると要件が満たされます。

また、「定住者の在留資格で5年以上日本国内に継続して在留している場合」や「難民の認定を受け、5年以上日本国内に継続して在留している場合」「外交、社会、経済、文化などの分野で日本に対する貢献があると認められ、5年以上日本に在留している場合」も、10年に満たなくても要件が満たされると覚えておきましょう。

なお、「日本に対する貢献」の具体例を挙げると、以下のようになります。

  • 国際的に「権威」が認められている賞(ノーベル賞、フィールズ賞など)を受賞
  • 日本政府から、国民栄誉賞や文化勲章などを受賞
  • 国や地方自治体の「委員」などとして3年以上、公益目的で活動
  • 医療、教育などの分野での貢献
  • 先端技術者、高度技術者として、農林水産業や工業などの発展に貢献
  • 日本国内の上場企業(または同等規模の企業)の経営におおむね3年以上従事し、産業の発展に貢献
  • 大学などで常勤の教授、准教授、講師としておおむね3年以上勤務し、高等教育の水準の向上に貢献
  • グッドデザイン賞の大賞、特別賞を受賞
  • 文化、芸術分野の権威ある賞(ベネチア、ビエンナーレ金獅子賞、アカデミー賞各賞、カンヌ映画祭各賞、ベネチア映画祭各賞、ベルリン映画祭各賞など)を受賞
  • オリンピックや世界選手権などで上位入賞

また、「高度人材外国人」に該当する場合も、在留期間の短縮が可能です。詳細は、出入国在留管理庁の公式サイトを確認してください。

曖昧な文言や表現も多いので、まずは出入国在留管理庁、弁護士、行政書士などに相談しましょう。

要件を満たしている場合は、出入国在留管理庁の公式ウェブサイトから申請書をダウンロード、印刷し、必要事項を記入したうえで申請を行ってください。自分自身で申請手続きを行う自信がない場合は、行政書士に代行してもらいましょう。

外国人が日本で住宅ローンを組む際の条件、審査基準

「永住権がある」場合と「永住権がない」場合に分けて、外国人が日本で住宅ローンを組む際の一般的な条件や審査基準を紹介します。

なお、金融機関によって審査基準や条件は異なるので、詳細は各金融機関にお問い合わせください。

「永住権あり」の場合

永住権がある場合は、外国人だからと特別に勤続年数や収入などに関して厳しい条件が課されるわけではなく、基本的には日本人と同じように「返済能力」「申込時および完済時の年齢」「団体信用生命保険に加入できる健康状態であるか」を審査されます。

外国人の場合、「母国の政情の変化に伴って帰国する」ケースもあるため、「今後も日本に住み続ける意思があるのか」、重点的にチェックされると認識しておきましょう。

また、住宅ローンの契約に際しては「本人の意思確認」が不可欠なので、「日本語での意思疎通」を行えない場合は、申込みが難しくなる可能性があります。

「永住権なし」の場合

上述したように、永住権がない場合は、永住権がある場合に比べて申込みの条件や審査基準が厳しくなる点にご注意ください。

具体的には、永住権がある場合の要件に加えて、以下に示す要件(1つまたは複数)を課されるケースが多いと覚えておきましょう。

  • 日本国籍を有する配偶者が連帯保証人になる
  • 永住権、特別永住権を有する配偶者が連帯保証人になる
  • 一定の自己資金を用意する
  • 日本語を理解できる
  • 就労に制限のない在留資格(「定住者」「日本人の配偶者」「永住者の配偶者」など)を有している

詳細は、各金融機関の公式ウェブサイトを確認してください。

外国人が日本の住宅ローンを組むのが難しい理由

外国人が日本の住宅ローンを組むのが難しい理由を2つ紹介します。

帰国する可能性があるため

当初は「今後は日本で暮らしていこう」と思っていても、年月が経過すると、さまざまな事情(「親や兄弟姉妹の死去、家業を継ぐことになった」など)で母国に帰国せざるをえなくなる場合もあるでしょう。

海外では日本国の法律が適用されないため、住宅ローンの返済期間内に帰国されてしまうと、残債の回収に手間がかかり、最悪の場合は「貸し倒れ」になる可能性もあります。

金融機関側はこうした可能性を危惧する(特に永住権がない場合は、「今後も日本に住み続ける意思があるのか」疑念を抱く)ため、外国人は住宅ローンを組みにくい傾向があると認識しておきましょう。

審査に通過するうえで大切なのは、日本国内での生活基盤を構築し、「今後も日本に住み続ける」姿勢です。

収入が不安定ではないか懸念を持たれるため

昨今は、日本政府が「高度外国人材」の来日を歓迎していることもあり、「平均的な日本国民よりも高い収入を得て、さまざまな領域で活躍している」外国籍の方も大勢いらっしゃるでしょう。

しかし、永住権がない場合、「収入が不安定なのではないか」と金融機関側が懸念を抱く可能性がある点にご注意ください。

「在留期間が一定年数を経過してから申込む」「一定以上の勤続年数があり、安定的な収入があることを示す」「自己資金を多めに用意する」といった対策を講じて、金融機関側の不安を解消すれば、審査に通りやすくなる可能性があると覚えておきましょう。

住宅ローンを組んで日本で快適な住まいを手に入れよう

外国人でも、各金融機関の申込条件や審査基準をクリアすれば、住宅ローンの借入れを行うことは可能です。日本国内で長い時間を過ごすのであれば、住宅ローンを組んで快適な住まいを手に入れてはいかがでしょうか。

しかし、日本国籍がある方に比べて、審査に通りにくい傾向があることも否定できません。金融機関側が危惧しているのは、「住宅ローンの返済期間中に帰国するのではないか」「生活基盤が安定していないのではないか」といった点です。

「永住権を取得する」「日本国籍を有する配偶者や、日本の永住権を有する配偶者に連帯保証人になってもらう」などの対策を講じて、金融機関側の不安を解消すれば、審査に通りやすくなる可能性があります。

また、永住権を申請してから認められるまでは時間がかかるケースもあります。住宅の購入を考えている方は、早めに準備、申請をしておきましょう

なお、金融機関によって、申込条件や審査基準が異なる点にご注意ください。各金融機関の公式ウェブサイトを確認したうえで、不明な点がある場合は電話や窓口で相談してください。

監修者:竹下 昌成
顔写真:監修者:竹下 昌成

プロフィール:
竹下FP事務所代表、TAC講師、㈱メディエス代表取締役。兵庫県西宮市在住、昭和46年生まれ、立教大学卒業後、池田泉州銀行、日本GE、タマホームなどを経て現職。タマホームFPとして600件超のFP相談実績。30歳でサラリーマン投資家として大家業をスタート、38歳で本格化、45歳でFIRE。現在は大家業をメインに講師や執筆監修活動、相談業務。

資格情報:CFP®、宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、住宅ローンアドバイザーほか

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住宅ローンをやさしく解説!

本記事では、日本で住宅購入を検討している外国籍の方に向けて、申込条件や審査基準について解説しました。他にも金利や返済方法など、住宅ローンを検討していくうえでおぼえておきたいポイントを簡単・簡潔にまとめていますので、こちらもぜひご覧ください。

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