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2025/01/09

お金を貯めたいなら目的別に口座を作ろう|管理方法やコツも紹介

執筆者:新井智美(ファイナンシャル・プランナー)

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効率的にお金を貯める方法の一つに、「目的別に口座を作ること」があります。

複数の金融機関で口座を持っている人は多いと思いますが、「何となく」複数の口座を持っているだけではお金は貯まりません。

今回は目的別に口座を作ることの大切さと、口座を分ける際のポイントについて解説します。

■目的別口座とは?

目的別口座とは、貯蓄の目的ごとに開設する口座です。目的はその人のライフスタイルや今後発生するライフイベントによって異なります。

例えば、以下のような目的でお金を貯める口座が目的別口座です。

  • 予備資金
  • 住宅購入資金
  • 教育資金
  • レジャーや旅行の費用

目的別に口座を持つことで日常使いの普通預金口座とは別に管理できるため、計画的に貯めることができます。また、目標を達成するために残りの収入をどのように使っていくかを考えるきっかけにもなるでしょう。

■同じ銀行で複数の口座開設も可能

同じ銀行で開設できる口座は、原則として1人1口座です。

金融機関によっては複数開設ができる場合があるものの、どのような目的で2つ目の口座を作成するのかを金融機関に伝える必要があり、内容によっては2つ目の口座開設を拒否される場合があります。

「1つの金融機関で1人1口座」には、「不正に利用される口座の開設を未然に防止する」という目的があります。

最近では他人から買い取った口座を振込先に指定し、多額の金額を振込ませる詐欺が問題になっています。そのため、金融機関はどのような目的で複数の口座を持つのかを確認するのです。

また、金融機関側の手続きミスの防止や、口座を管理するためのコスト削減も、複数の口座開設を認めていないことの理由の一つです。

中には複数の口座開設を認めている銀行もありますが、一定の要件を満たす必要があります。同じ銀行で複数の口座を開設したいなら、まずはその金融機関に相談してみましょう。

■目的別に口座を作ることのメリット

目的別に口座を作ることのメリットとして、以下のものがあります。

●口座ごとの使い道が明確になる

目的別に口座を持っておけば、お金の使い道が明確になります。単にお金を貯めるのではなく、いつ、何のために、どのくらいの費用が必要なのかを把握して口座にお金を入れるようにしておけば、その目的以外に利用しにくくなるでしょう。

仮にレジャー費用として毎年10万円貯めるための口座を保有したとして、貯まるタイミングと金額がわかるため、時期や行き先などの計画を立てやすくなります。

もし、その年に旅行やレジャーとして使わなかったとしても、翌年に20万円貯まっていればその分、旅行やレジャーの選択肢も広がるでしょう。

●効率的にお金が貯まりやすくなる

口座が1つだと、その中で貯金に回す金額や使ってもいい金額が把握しにくく、計画的にお金を貯めるのが難しいでしょう。

その点、目的別の口座を持っておけば、管理がしやすくなり、目標額達成までに後どれくらいかかるかを確認できます。また、引き出すのも普段の生活費用の口座のみにしておくことで、必要なお金が貯まりやすくなるでしょう。

●リスクを分散できる

金融システムの発達に伴い、各金融機関でさまざまなシステムが導入されていますが、このシステムのトラブルもたびたびみられるようになっています。

もし1つの金融機関の口座しか持っておらず、その金融機関でシステムトラブルが発生した場合、回復するまでお金を引出したり振込んだりすることができなくなってしまいます。

その際、複数の金融機関に口座を分けておけば、システムトラブルが発生していない金融機関の口座を利用できます。

このようにメインで利用する口座とサブとして利用する口座を分けることは、リスク分散のうえでも大切です。特に日常使いの口座と緊急予備資金の口座は金融機関を分けておくことをおすすめします。

さらに、金融機関が破綻した場合は預金保険制度により1,000万円とその利子まで(普通預金や定期預金の場合)は保障されますが、残りの金額は保護されません。

1つの銀行に1,000万円以上の金額がある場合、金融機関を別にしておくことで破綻した際のリスクを軽減できますので覚えておきましょう。

■目的別に口座を作ることのデメリット

目的別に口座を作ることには、前述のメリットだけでなくデメリットもあります。代表的なデメリットとして、以下のものが挙げられます。

●セキュリティ対策も含めた管理が大変

多くの口座を持つと、口座の暗証番号などの管理が大変です。

一般的な銀行の場合はアプリをダウンロードし、ログインIDやパスワードを設定しなければなりません。セキュリティ対策のためには、口座ごとに暗証番号・ログインID・パスワードを変える必要があります。

各口座の暗証番号・ログインID・パスワードを安全に管理する方法も考えておかなければなりません。

●口座間の資金移動に振込手数料が発生する

一般的に給与が入金される口座は1つなので、そこから目的別の口座にお金を移さなければなりません。

多くの場合、その資金移動には振込手数料が発生します。同じ銀行なら口座間の資金移動には振込手数料が発生しない場合もありますが、銀行を分けている場合は一般的に振込手数料が発生します。

振込手数料は、利用する金融機関や振込金額によって異なります。数百円程度でも年間ではまとまった金額になりますし、長期間貯金を続けるなら振込手数料に関しては尚更シビアに考える必要があります。

なお、金融機関によっては利用者のステージなどに応じて振込手数料が無料となるケースもあるので、事前に確認しておきましょう。

一定のステージに達すれば、その月に一定の回数(5回や10回など)まで振込手数料が無料となるサービスを提供している金融機関もあります。

■口座を分けてお金が貯まりやすくするポイント

ここからは、口座を分けることによってお金が貯まりやすくなるポイントについて解説します。

●目的を明確にする

目的別の口座ですから、何のためにその口座を作成するのかを明確することが大切です。貯蓄の目的は人によって異なりますが、何にどれくらい使うのかを事前に考え、目的を明確にしておきましょう。

まず、これからの自分の人生で、いつ、どれくらいの金額が必要になるのかを把握し、目的を決めます。その際には必要になる時期を確認し、それまでに貯める金額を決めておくことが大切です。

目的が思い付かない場合は、日常使いに利用する口座と貯蓄用の口座、緊急予備資金用の口座の3つに分けておくとよいでしょう。

緊急予備資金口座には、毎月の生活費の3ヵ月分~6ヵ月分の資金を準備しておくと安心です。例えば、被災などの予測できないことが起きたとき、食事や衣服などの生活費や通信費、ホテルなどの宿泊費など生活を立て直すまでの目安が、毎月の生活費の3ヵ月分~6ヵ月分と言われています。

日常使いに利用する口座は主に生活費を入れておく口座なので、公共料金などの引落とし口座として登録しておきましょう。

●利用する口座を決める

日常使いの口座なら普通預金口座で構いませんが、貯蓄用口座なら利息は定期預金口座のほうが高いため、効率良く貯められます。定期預金なら原則として満期まで引き出せないので、貯蓄用口座に適しています。

●銀行を選ぶ

目的別口座を開設する銀行選びも、効率的にお金を貯めるための重要なポイントです。

特に、定期預金として預けるなら利率や満期などを確認し、条件の良い金融機関に預けるべきです。貯蓄用口座は基本的にお金を引出さない口座なので、どのような特典が用意されているかを確認し、使い勝手のいい金融機関を選ぶことをおすすめします。

日常使いの口座は、近所にATMがあってお金を引出しやすい金融機関で開設するとよいでしょう。

最近は、その金融機関を利用することで提携しているポイントサービスの特典を得られるところもあります。利用頻度や預入れる額によってサービス内容が変わるのでので、さまざまな金融機関のサービスを比較して選びましょう。

目的別口座として使いやすいのは、ネット銀行です。ネット銀行の中には、複数の目的別口座を開設できるところもあります。

ただし、目的別口座には口座番号が付与されない場合があります。振込などに利用するときは一旦代表口座に移す必要があるケースもあるので、サービス内容をよく確認してから口座を開設してください。

■休眠預金にならないように注意する

休眠預金とは、10年以上入出金などの取引がない預金のことです。

休眠預金になると、自動的に口座のお金が民間の公益活動のために利用されるので注意が必要です。なお、休眠預金となった後でも手続きを行えば口座にある預金を引出せます。

  • 参考記事

目的別口座で目的が果たせた場合は、その後の口座の取扱いも考えましょう。

例えば、住宅購入資金の頭金を貯めるための口座を開設して住宅購入が完了したら、解約するかまたは、その口座を他の目的で利用するのがいいでしょう。

実際、休眠預金になってしまうのは、目的別口座として利用していた口座ばかりですので注意が必要です。

■まとめ

目的別に口座を持つことで効率よくお金を貯められます。ただ、その際には目的をしっかりと決めることや、無理のない範囲で貯めていくことが大切です。あまりにも貯金を意識しすぎて毎月の生活費が足りなくなってしまっては本末転倒です。

目的別口座を開設する際には、給与が入ったらすぐに決めた額をそれぞれの口座に移すことを忘れないようにしましょう。また、緊急予備資金を利用した場合は、使ったお金を後でその口座に入金することも大切です。

また、目的別口座を開設する金融機関を選ぶ際には、金利の高さやポイントの貯まりやすさなど、サービス内容を重視しながら決めるようにしましょう。

執筆者:新井智美

プロフィール:
コンサルタントとして個人向け相談(資産運用・保険診断・税金相談・相続対策・家計診断・ローン・住宅購入のアドバイス)のほか、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)をおこなうと同時に、金融メディアへの執筆および監修にも携わっている。現在年間300本以上の執筆及び監修をこなしており、これまでの執筆及び監修実績は2,500本を超える。

資格情報:CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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